フォーカル PS165レビュー

フォーカルの最新の主力モデルがパフォーマンス・シリーズ。3万円台のリーズナブルな価格ながら、バイアンプ接続対応のクロスオーバーネットワークを装備するなど、コストパフォーマンスに優れたモデルだ。

フォーカル PS165(33,600円)
このパフォーマンス・シリーズも最廉価モデルのインテグレーション・シリーズ同様、ウーファーの振動板はポリグラスコーン、トゥイーターはアルミのインバーテッドドーム型を採用。ただし、フレームは剛性に優れた非磁性体アルミシャーシで、マグネットは大型化。付属のクロスオーバーネットワークは空芯コイルなど高品質な音響パーツを採用するなど、各所をグレードアップしている。ウーファー自体、奥行きが長くなっているので、振動板の形状も異なるようだ。

付属のクロスオーバーネットワークは、この価格帯のスピーカーとしては信じられないほど多機能だ。トゥイーターレベルを3段階に切り替えられるほか、トゥイーターのハイパス周波数も3kHz、3.5kHz、4kHzの3段階に切り替えられる。たとえば、ウーファーとトゥイーターを近い場所に設置したときは、トゥイーターのハイパスを高めに設定し、トゥイーターとウーファーが離れている場合はトゥイーターのハイパス周波数を低くするという具合に、装着場所に応じた調整ができるし、もちろん好みに合わせて調整してもいい。

トゥイーターのハイパスフィルターとウーファーのローパスフィルターが別体になっているのもいい。ひとつひとつがコンパクトだから装着の自由度が広がるし、合体できるのでワンボディのネットワークとしても使える。またバイアンプ接続できるから、IS165同様、デッキの内蔵4チャンネルアンプを使って、マルチアンプシステムの構築が可能。このときに、トゥイーターのクロスオーバー周波数の切換機能が効いてくる。装着状態や、個々のクルマの環境に応じて調整できる範囲が広くなるので、調整次第でよりいい音が得られる可能性が高くなる。

最初は、トゥイーターのハイパスフィルターを3kHzに設定して聴いてみた。トゥイーターとウーファーが近い状態だと、この設定では中域〜高域にかけて聴きづらい部分がでるため、トゥイーターのレベルを下げるとともにハイパスフィルターを4kHzに設定してみたところ、音はがらりと変わる。低域がふくよかになって、中高域が落ち着き、自然なサウンドが楽しめるようになった。全体としては、他のフォーカルスピーカーに通じる独特の明るさがある。そして伸びやかで艶のあるヴォーカルは、このスピーカーでも味わえる。エコー感もたっぷりあって、本当に心地よい音色だ。

たとえば2万円台のCDレシーバーに、このスピーカーをプラスすれば、商品代は6万円以内。それで、内蔵アンプを使ったマルチアンプシステムを組めば、十分にいい音が得られると思う。コストパフォーマンスが抜群に優れたスピーカーだと思う。

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