オーディソンbit Tenは高性能&多機能ハイ/ロー・コンバーターだ!

オーディソンから安価なデジタルプロセッサー、bit Ten(39,900円)が登場した。このbit Ten、コントローラーのDRCが別売だったりと、デジタルプロセッサーとしてみると中途半端な感じもするが、高性能&多機能なハイ/ロー・コンバーターと考えれば、ものすごく魅力的な製品だ!



サイズは幅191×奥行131×高さ34mm
ハイ/ロー・コンバーターとは、一旦デッキの内蔵アンプなどで増幅された音楽信号を、パワーアンプに接続可能なプリアウト出力に変換するアイテム。なぜ、こんなややこしいものが必要かというと、純正デッキを残したまま、外部パワーアンプ追加+市販スピーカーへの交換で、サウンド向上を図る時などに使う。

ハイ/ロー・コンバーター自体、安いモノなら5,000円程度からあるため、約4万円のbit Tenはハイ/ロー・コンバーターとしては高い。しかし、安価なハイ/ロー・コンバーターを使って、純正デッキに外部パワーアンプ追加し、スピーカーを交換しても、必ずしも音が良くならないのも事実。むしろ、期待はずれのケースが多いかもしれない。

というのも、純正システムは、純正デッキと純正スピーカーの組み合わせでバランスのいい音を再生できるように、事前にイコライザー等の調整が施されている場合が多く、それにフラット特性&ワイドレンジのスピーカーを組み合わせると、かえってバランスが崩れて聞きづらい音になってしまうことがあるためだ。それを解消するためには、イコライザーなどの音質補正機能が必要だ。

DE-EQで特性をフラットに戻せる
そんな調整ができるのがbit Tenだ。bit Tenにはクロックスピード147MHzの32bitシーラスロジック製DSPを内蔵。ハイレベル入力から取り込んだ純正システムのスピーカー出力を24bit A/Dコンバーターでデジタル信号に変換したあとDSPで調整し、パワーアンプに接続可能なプリアウトとして出力できる。しかも純正システムで、純正システムの出力をフラットな周波数特性に戻す「DE-EQ」というボタンを装備。純正システムの音にあらかじめイコライザーがかけられていても、周波数特性の整った信号を出力できるのだ。その際、パソコンの接続は不要。「DE-EQ」ボタンをワンプッシュするだけの簡単さだ。

調整用ソフトを付属
もちろん、パソコンと付属のパソコンソフトを使って、きめ細かい調整もできる。DSPに搭載する機能は、イコライザー/クロスオーバー/タイムアライメント。イコライザーは31バンドで128ステップの調整が可能。クロスオーバーは、スロープが−6〜−24dB/octの範囲で4段階にできる。タイムアライメントは0.02mm/sec間隔で15mm/secまでディレイをかけられる。ライン出力は5チャンネル分あり、フロント/リア/サブウーファー(またはセンターチャンネル)や、フロントウーファー/フロントトゥイーター/サブウーファー(またはセンターチャンネル)のシステムに対応する。
出力は5チャンネル

ケンウッドの2万円台のCDレシーバーのスピーカー出力にbit Tenを接続し、アルパインのパワーアンプ+カロッツェリアのスピーカーという組み合わせで試聴してみた。その前に、同じスピーカーをケンウッドのCDレシーバーの内蔵アンプで鳴らしてみたが、やはりbit Ten+外部アンプを加えると、音楽のノリの良さが違う。リズムが生き生きするし、エネルギー感も大きく向上。もちろん、アンプの力なのだが、スピーカー出力をローレベルの信号に変換することによるS/Nの悪化、情報量の減少といったデメリットは感じさせず、クオリティの高い音を聴かせてくれる。

ゲイン調整はトップパネルに装備
そのためには、シビアなゲイン調整が必要で、これがいい音になるかならないかのの境目になりそうだが、このへんは、イコライザーやクロスオーバー/タイムアライメントの調整を含めて信頼できるショップに任せればいいと思う。最近は、コストダウンにより純正オーディオのサウンド・クオリティが一時期より下がっているように感じるが、たちが悪いことに、そんなクルマに限って純正デッキの交換ができなかったり、できたとしてもものすごくコストがかかったりする。そのため、純正システムの音に不満を持ちながらも、純正のままで音楽を聴いている人も多いと思う。そんな人には、ぜひ純正システム+bit Ten+外部アンプ追加+スピーカー交換のプランを勧めたい。コストパフォーマンスに優れたアンプ&スピーカーを選べば、アイテム代約15万円前後で、システムを構築可能。これにインストール代が加わる。そのインストール費用は、ショップによっても制振等のグレードによっても異なるが、純正システムとはまったく違う快適な音で音楽が楽しめること間違い無しだ。