ハーツのスピーカー3機種を聴き比べ!

ハーツの新しいスピーカー、エナジー・シリーズには16.5cmセパレート2ウェイシステムが3種類もある。それらはどう違うのかを見て、聴いてみた。

その3種類とはESK165.5(23,100円)、ESK F165.5(23,100円)、ESK 165L.5(25,200円)の3機種。ESK165.5とESK F165.5は同じ価格だが、ESK 165L.5は税抜で2,000円高い価格設定だ。
ESK165.5はいわばベーシック仕様

ESK F165.5は薄型仕様
ESK 165L.5はウーファーの振動板がノンプレスコーン
トゥイーターは3モデル共通
トゥイーターは3機種とも共通。ET26.5というテトロンが素材のソフトドーム・タイプだ。以前のエナジー・シリーズのトゥイーターは20mm口径のET20というタイプだったが、こちらは26mm口径と一回り大きくなっている。トゥイーターの低域側の再生範囲を広げ、ウーファーとの音がより良くつながるような狙いだろう。

ウーファーは以前のエナジー・シリーズのオレンジ色とうって変わって黒くなった。これはインテリアの親和性を優先したものだ。振動板の色は3機種とも同じウーファーだが、それぞれ製法なり形状なりが異なっている。素材は3機種とも紙がベースだが、ESK165.5とESK F165.5がプレス・コーンなのに対し、ESK 165L.5はノンプレス・コーンなのが、まずひとつ大きな違い。またESK165.5とESK F165.5では振動板およびフレームの形状が違っていて、ESK165.5が取付奥行64mmなのに対し、ESK F165.5は43mmと薄く仕上がっている。このため、ESK165.5が取付不可能なほどドアの厚みがないクルマでも、ESK F165.5なら取付けられる可能性が高い。ちなみにESK 165L.5の取付奥行はESK165.5と同じ64mmだ。

左/ESK F165.5、右/ESK165.5のウーファー。奥行が違う
その音の印象をまずはESK165.5から。2万円台のセパレート2ウェイ・スピーカーというと、国産とほとんど変わらないかむしろ安いくらいだが、正確で生真面目な音の国産スピーカーにはない楽しさがある。このクラスとしては上等だろう。たとえばシンバルの音などが華やぐ傾向があるなど、ちょっとだけピーキーな部分もあるがそれも特徴の範囲内。中域はやや細身ながら暖かく滑らかだし、低域もほどよい重さとゆるさがあって、音楽を耳当たりよく聴かせる。ダイヤトーン・サウンド・ナビの内蔵アンプを使っての試聴だが、能率が92dBと高いこともあり、内蔵アンプでも十分に軽快になってくれるあたりもいい点だ。

薄型ウーファーを採用したESK F165.5も、音の印象はESK165.5とそれほど変わらない。振動板が浅くなった分だけ低域がやや軽く、低域の締まりが甘くなって膨らむ傾向はあるのだが、音が躍動的に弾んで楽しい感じ、中域の滑らかさ、温かさと高域の華やかさが同居した印象などは、ESK165.5と共通している。だから、ドアの奥行が足りなくてESK165.5は入らないと、がっかりしなくてもいい。そんなクルマでもESK F165.5ならすんなり装着できるだろうし、遜色のない音で音楽が楽しめる。

ESK 165L.5はノンプレスコーン・ウーファーを採用
ESK 165L.5は、音の印象がガラリとかわる。紙を漉くときに機械で一気にプレスせず、時間をかけて乾燥させるノンプレスコーンは、一般的にプレスコーンよりも高域側、低域側ともに再生レンジが広がるといわれるが、そのおかげだろう。トゥイーターとの音のつながりがいっそう良くなり、高域の質感がグンと高まった。また低域はスペック上でもESK165.5が60Hzからなのに対し、ESK 165L.5は50Hzからと、低域の再生限界が10Hzも拡大しているのだが、聴感上でもそれははっきりと感じられる。中低域が厚くなり、ベースの音程がはっきりしてくるなど、低域の解像度と締まりもESK165.5より高まったようだ。音のつながりがスムースになった分、中高域の華やいだ部分が無くなりパッと聴いた時のインパクトは薄くなっているが、音のまとまりの良さではESK 165L.5が上。このあたりは、好みで選べばいいと思う。

付属ネットワークは共通
いずれも、市販の17cm用バッフルを使用してクルマに装着可能。簡単にトレードイン可能なスピーカーとしては、コストパフォーマンスが高いし、同クラスの国産スピーカーにはない、楽しく生き生きとした音が得られる。カーナビを純正から社外品に入れ替えたとしても、一緒にスピーカーまで交換する人は最近減っているようだが、ダイヤトーン・サウンド・ナビに代表されるように最近のAVナビはものすごく音が良くなっており、スピーカーも一緒に交換することで、音楽がより良い音で楽しめるようになるのは間違いない。そのような市販AVナビ導入時に、同時に交換するスピーカーとしてお勧めできるお手軽スピーカーだ。

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