速攻レビュー DIATONE SOUND.NAVI NR-MZ80シリーズ

8月21日の発表以降、カーオーディオ好きの間で注目を集めているダイヤトーンNR-MZ80シリーズ。詳細なレビューは後日「Club DIATONE」でお伝えするが、その前にファースト・インプレッションをお届けする。

NR-MZ80でもっとも気になるのは、従来のMZ60とどれだけ音が違うのかということだと思う。これは「最近、MZ60を購入した人はタイミングが悪かったですね、残念でした」というしかない。MZ60も単独で聴くと高音質で満足度の高いモデルだが、MZ80と比較試聴すると、その違いは歴然。あまりの違いに、唖然とするしかない。
NR-MZ80のスタンダードモデル
だから、MZ60を最近手に入れた人は、あえてMZ80の音は聴かないほうがいいかもしれない。MZ60のオーナーがMZ80の音を聴いてしまうと、なんで早くMZ80が出ることを教えてくれないんだと怒り出すか、落胆して立ち直れなくなるか、MZ60をすぐに売ってMZ80に買い替えたくなるかのいずれかになりそうだからだ。
こちらはPREMIモデル。フレーム色がやや明るくなった
どこが違うかというと、まず音の透明感だ。MZ60も相当S/Nに優れていたが、MZ80はそれ以上。また情報量も増えていて、音の立体感がまったく違う。もちろんMZ60も、単独で聴くと十分に立体感のある音場を描くのだが、MZ60が3Dテレビのような立体感だとすれば、MZ80は音像そのものが立体的に感じるような聴こえ方。奥行方向の階調が、MZ60とはまったく違うのだ。
PREMIモデルのイコライザー調整画面
実は試聴する前は、正直「そんなに変わらないだろう」と、ナメてかかっていた。というのもMZ60でもハイエンド・オーディオを凌駕するほどの高音質だし、同じような価格でさらに高音質化するのは難しいだろうな、と思っていたからだ。

しかし、音を聴いてみると、大きな違い。MZ60を聴いた直後にMZ80を聴いてみると、MZ60にもこんなに付帯音があったのねと気づく。おそらくDA-PX1にも採用していたピュアデジタルアイソレーター方式や、新採用のリモートポテンシャル伝送バッファアンプが効いているのだろう。このピュアさは、ハイエンドオーディオそのものだ。

イコライザー等の調整を行わない素の状態でもこれだけ違うのだが、音質調整を行ったあとだと、その差はさらに広がる。というのも、MZ80はDSPを64bitにパワーアップし、アジャスタブルFIR方式を採用したから。調整時はIIR方式だが、調整モードを離れ再生状態にするとFIR方式に変わり音質劣化が極小に抑えられる。というか、MZ80は調整前と調整後の音質劣化はほとんど感じられない。これを聴いたあとにMZ60の調整前と調整後を聴き比べてみると、少なからず音質劣化があると認めざるを得ない。

MZ80の資料やカタログに初めて記載された、DACマスタークロックやAD独立ローカル電源は、実はMZ60にも密かに採用されていたものだが、回路やパーツの見直しを図って徹底的にファインチューニングしたというMZ80シリーズ。PREMIモデルは、MZ60より3万円ほど価格がアップするというが、音を聴くと納得できると思う。またスタンダードモデルは、価格据え置きとのこと。MZ60のスタンダードモデル同様、グライコのバンド数が少ないのと、マルチアンプシステムが組めないところが、PREMIモデルとの違いだが、64bit演算コアアジャスタブルFIR DSPやピュアデジタルアイソレーターなどのフィーチャーは、MZ80 PREMIモデルと同じだから、マルチアンプ構成を考えなければ、わりと狙い目のモデルである。
NaviConから5カ所の地点を同時送信可能。ナビ上で簡単にルート編集ができる
なお、三菱液晶TVに採用している高画質技術「REAL」を搭載し、画質も大幅に向上。とくに赤や青の色再現性と暗部の階調表現が向上している。またナビ部はスマートフォンアプリの「NaviCon」に対応し、スマホと連携した検索ができるようになったのが進化した部分だ。

DIATONE SOUND.NAVI