カロッツェリア PRS-D700(30,000円/税別)

中高域の質感の良さが持ち味。コンパクト&シンプルな2chアンプ



【プロフィール】
長さ255mm、奥行104mmのコンパクトなボディの2チャンネルD級アンプ。3万円というリーズナブルな価格ながら、ハイエンドオーディオにカテゴライズ。内部基板や音響パーツへ伝わる振動を抑えることで高音質化を図るTVCコンセプトなど、同社ハイエンドアンプで培った技術が採用されている。一般的に、このクラスのパワーアンプはクロスオーバーを内蔵したタイプが多いが、このアンプには無し。音楽信号の増幅に徹したシンプルな作りだ。コンパクトだから、取り付け場所の自由度も高いし、2台使って4チャンネル化、3台使って6チャンネル化するのも、比較的容易。使い勝手の良さも、このアンプの魅力だ。

【インプレッション】
このアンプをDIATONE SOUND.NAVI+DS-G20につないぎ音楽を聴いて、まず感じるのが、高音の質感の高さ。クラスDアンプというと、一般的に高域再生が苦手な印象があるが、このアンプはシンバルの響きがとてもきれい。もっと上級アンプを含めても、クラスDアンプの中では中高域の質感が高いほうだと思う。その対して低域の力感は、やや物足りなさも感じるのだが、DIATON SOUND.NAVIとDS-G20の組み合わせなら、イコライザーで持ち上げても音質劣化が少ないので、調整でどうにかなりそうだ。

音の立ち上がりの速さも、DS-G20の良さを引き出してくれそう。若干、インパクトが強調されがちな面もあるが、ギターのピッキングやドラムのアタック、トランペットなどホーンセクションの鋭く勢いのある音が楽しい。音色はニュートラルよりも、若干クール系か。ナイロン弦のギターがややスチール弦っぽく聴こえる部分もあったりする。楽しい音かというと「?」な印象だが、正確な音ではある。

今回、PRS-D700が1台だけだったので、2台使ってマルチアンプ接続は試していないのだが、中高域の質感の良さから想像するに、ウーファーのゲイン調整をシビアに行うことで、かなりのレベルの音にもっていけそうな予感がする。PRS-D700を2台用意したとしても60,000円(税別)。コンパクトだから場所は取らないし、シート下に余裕があるクルマなら、シート下に設置したりもできる。その場合、アンプをラゲッジルームに置くよりもラインケーブルやスピーカーケーブルが短くて済むので、音楽信号の伝送ロスやノイズの飛び込みといったリスクも減る。といったことを総合的に考えると、10万円以内でパワーアンプの増設を考えるなら、コストパフォーマンスに優れた1台といえる。


【仕様】
■チャンネル:2チャンネル
■定格出力:125W×2(4Ω)/150W×2(2Ω)/300W×1(4Ωブリッジ時)
■高調波歪率(10W,1kHz):0.004%
■SN比:105dB
■周波数特性:10Hz〜30kHz(+0dB.-3dB)
■消費電流:23A(定格出力時,4Ω)
■入力レベル:400mV〜6.5V
■サイズ(幅×奥行×高さ):255×104×50mm
■質量:1.6kg

カロッツェリアPRS-D700のサイト

ハーツ HCP4のインプレッション
ESX X4のインプレッション
イートン MA-150.4のインプレッション
キッカー KX400.4のインプレッション
ロックフォード PUNCH P600.4のインプレッション
モスコニ GLADEN ONE120.4のインプレッション
チェレストラ FA475Xのインプレッション

Photo/伊倉道男