ハイレゾ再生に対応したケンウッド彩速ナビが登場!

昨年、ハイレゾ音源を入力してデジタル処理できるDSPアンプのオーディソンPrima AP8.9bitやハイレゾプレーヤーのbit Play HD、ハイレゾ対応デジタルプロセッサーのヘリックスDSP PROが登場するなど、徐々にハイレゾの機運が高まってきたカーオーディオ界だが、ついにAVナビでもハイレゾ再生対応機が登場。2015年は、クルマの中でも「ハイレゾ」が本格化しそうな気配だ。


ハイレゾ再生に対応したのは、ケンウッドが2月4日に発表した新しい彩速ナビの中の最上位グレード「タイプZ」。2DINサイズのMDV-Z702と横幅200mmのワイドボディ機、MDV-Z702Wの2モデルをラインナップする。8型モデルのMDV-X802Lを含む下位グレードのタイプXはハイレゾに対応していない。
こちらは横幅200mmワイドボディのMDV-Z702W(オープン価格)
タイプZが再生に対応しているハイレゾ音源は最大でサンプリング周波数192kHz/ビットレート24bitのWAVファイルとFLACファイル。当然48kHz/24bitや96kHz/24bitのハイレゾ音源も再生できる。またハイレゾ音源はもちろんのこと、44.1kHz/16bitのCDやiPhone 、DVD等のハイレゾではないデジタル音源、FM/AM等のアナログ音源もすべて192kHz/32bitのデジタルデータにアップコンバートしてから音楽信号に変換するという。

そのためにD/AコンバーターやDSPなどのデバイスは一新した。D/AコンバーターはAKM製の32bitプレミアムDAC、DSPは同じくAKM製のTripleコア浮動小数点演算DSPだ。他にもジッターレス信号処理信号システムや低位相ノイズマスタークロックなどを新採用しているし、アナログ部分も低ノイズの新型パワーアンプ、薄膜高分子積層コンデンサーなどを採用した。
イコライザーは13バンド
タイムアライメント調整も可能
ホールシミュレーションON時にはサンプリング周波数が48kHzになるとの但し書きがあるため、イコライザーやタイムアライメント使用時に、サンプリング周波数やビットレートがどうなっているのか、いまいち不明な点もあるのだが、音を聴いてみる限り、CD同等の44.1kHz/16bitとハイレゾ192kHz/24bitのクオリティの差は歴然。44.1kHz/16bitでは硬く耳に刺さるような感じがあったが、192kHz/24bitではそれが消えて耳当たりがいい、聴き心地の良い音に変化する。音場も、より立体的に変化。44.1kHz/16bitでは平面的に横一列に並んでいた音像が、前後の立ち位置までわかるようになったのだ。おそらく情報量の増加が大きく影響しているものと思われる。
ハイレゾ音源再生時は画面にハイレゾのマークが出る
また、例えばフルートの息継ぎやヴィブラートの微妙なニュアンスなんかもはっきり聴こえるようになるし、ヴァイオリンの響き、ドラムスのアタック音など、すべての音がより生々しく、音が通るようになった感じだ。ヴォーカルも、192kHz/24bitから44.1kHz/16bitに切り替えるといきなり声が痩せて物足りなく感じるほどだ。

CDに比べるとコンテンツが高価だし、まだまだ数が少ない、データだから所有感がないなど、いろいろと課題はあるハイレゾだが、一度ハイレゾの音を聴いてしまうと、後戻りし難い魅力があるのは事実。なにしろレコーディングスタジオのマスター音源と同等のクオリティで音楽が楽しめるのだ。もちろん、ハイレゾ音源のポテンシャルを十分に引き出すには純正スピーカーでは不十分で、スピーカー交換も必要だが、デモカーに搭載されていたセパレート2ウェイのカスタムフィット・スピーカー、KFC-XS1700(37,000円)クラスなら、高域の再生帯域が可聴帯域を大幅に超える96kHzまでの再生能力を持つため、ハイレゾ音源の恩恵が十分に感じられる。

クルマで楽しむ音楽メディアがカセットテープからCDへと切り替わったように、ここ数年の間にCDや圧縮音源からハイレゾへと切り替わっていく可能性は大いにある。音楽好きなら、それを見越して音源を今からハイレゾ化していく手もあり。となるとオーディオ機器(=AVナビ)もハイレゾ対応が必要だが、これまでの彩速ナビ、Z701とほぼ変わらない金額(市場想定価格14万円前後)で買える新しい彩速ナビ、MDV-Z702/MDV-Z702Wは魅力的だ。

ケンウッド・カーナビゲーション