KICKER IQ500.2 158,000円(税別)

スピード感あふれる音が魅力。より洗練されたキッカー最上級アンプ



【プロフィール】
キッカーのフラッグシップ・モデルが「Qクラス」。スピーカーにはQSシリーズが存在し、アンプもQクラスの登場が待たれていたものの、なぜか今までなかったのだが、今年ようやく登場したのが、IQシリーズ・アンプである。

このアンプ、ただのアンプではなくデジタル・プロセッサを内蔵している。しかもハイレベルインプットにも対応。つまり、ヘッドユニットから丸ごと市販品に変える従来型のカーオーディオではなく、純正のヘッドユニットを残すことを前提とし、このアンプの追加&スピーカーのグレードアップをして、プロセッサーによる調整を与えることで、高音質化を図ろうというコンセプトのもとに作られたモデルである。

デジタル・プロセッサーはスマートフォンアプリで調整できるなど使い勝手が 良く、別売のIQI(69,000円・税別)を組み合わせることで、スマホなどとブルートゥースでつなぎ、音楽のストリーミング再生もできたりする。純正デッキを入れ替えるのが難しくなってきた今時のカーオーディオ事情には、ぴったりのアンプである。

デジタル・プロセッサーがダブることもあり、DIATONE SOUND.NAVIとの組み合わせはイレギュラーともいえるが、キッカーIQアンプはライン入力も備えているし、アンプ内蔵のデジタル・プロセッサーを使わず、アンプ部だけを使うことも可能。その音はいかに。

【インプレッション】
キッカーのフラッグシップ・アンプというと、かつてのZRシリーズ・アンプのようなゴリゴリの骨太な音を想像してしまうが、現代のIQアンプは、より洗練された印象。ZRアンプほどではないが低音には力があるし、スピード感あふれる音はキレがある。とくにスネアドラムのキレの良さは抜群。そのおかげでリズム重視の音楽がとっても楽しい。

音の強弱の表現も得意。ピアノの抑揚がよく表現されていて、ミュージシャンの気持ちが伝わりやすい。これ、音楽再生では重要なことだ。ベースの締まりもほどよく、躍動感のあるリズムが楽しい。

全体的にはソリッド系の音色で、ナイロン弦のギターがスチール弦っぽく聴こえる面もあるが、メリハリのある音を好む人にはちょうど良い。ヴォーカルはハキハキしていて、声も伸びやか。シンバルの音がちょっと賑やかに感じる時もあるが、勢いを感じる音と言い換えることもできる。

気になるのは音像がちょっと大きめなことと、空間の広がりがやや狭く感じることだが、車載状態ではセッティングや調整を煮詰めることで、コントロールできそうだ。

欲をいえば、デジタル・プロセッサーを外してもう少し価格が安いモデルも追加してほしいところだが、内蔵のデジタル・プロセッサーを使わず、アンプ部だけを使用するとしても、満足度は高いアンプである。


【主なスペック】
●定格出力:125W×2(4Ω)/100W×2(2Ω)/500W×1(4Ωブリッジ)●周波数特性:20Hz〜20kHz●SN比:95dB●サイズ:幅240×奥行191×高さ52mm


【関連リンク】
オージー